PTSDで障害年金を申請できますか?

障害年金のご相談では、
「PTSDは障害年金の対象になりますか。」
「症状が重くても、PTSDでは申請できないのでしょうか。」
「仕事上の出来事が原因ですが、障害年金も申請できますか。」
というご質問をいただくことがあります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、病名だけで障害年金の対象になるかどうかを判断することが難しい精神疾患です。

障害年金の認定基準では、神経症は原則として認定の対象にならないとされていますが、病態によっては認定の対象となる可能性があります。

また、PTSDとともに、うつ病などのほかの精神疾患と診断されている場合もあります。

今回は、PTSDで障害年金を検討するときに確認したいことについてご紹介します。

PTSDは原則として認定の対象にならないとされています

PTSDは、強い恐怖や生命の危険を感じるような出来事を経験した後に、その出来事が繰り返し思い出される、関係する場所や状況を避ける、緊張や不安が続くなどの症状が現れる精神疾患です。

症状が長期間続き、日常生活や仕事に大きな支障が生じることもあります。

一方、障害年金の認定基準では、神経症は、症状が長期間続き、一見して重症に見える場合でも、原則として認定の対象にならないとされています。

ただし、臨床症状から判断して精神病の病態を示している場合は、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱われることがあります。

そのため、PTSDという診断名だけではなく、主治医がどのような病態と診断しているのか、ほかの精神疾患を併発していないか、どのような治療を受けてきたのかを確認する必要があります。

障害年金の申請を目的として診断名を変更してもらうということではありません。現在の症状や治療経過について、主治医の医学的な判断を確認することが大切です。

ほかの精神疾患を併発していることがあります

PTSDの治療を続けるなかで、うつ病などの精神疾患と診断されることがあります。

複数の診断名がある場合は、それぞれを別々に見るだけではなく、症状や治療経過の関係を確認します。

診断書に記載される傷病名も、主治医が診察内容や治療経過に基づいて判断します。

そのため、障害年金を検討するときは、現在の診断名だけではなく、これまでにどのような診断を受け、症状がどのように変化してきたのかを整理することが大切です。

初診日を確認します

障害年金における初診日は、請求する傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

PTSDと診断された日が、必ず初診日になるわけではありません。

診断を受ける前から、心身の不調によって医療機関を受診している場合は、その受診と現在の傷病との関係を確認します。

まずは、症状が現れてから現在までの受診歴を振り返り、障害年金上の初診日と初診の医療機関を整理します。

初診日と初診の医療機関を確認した後、その医療機関へ「受診状況等証明書」の作成を依頼します。

▶ 障害年金の初診日はいつ?初診日が分からない場合の確認方法

日常生活や仕事への影響を確認します

障害年金では、症状の内容だけではなく、日常生活や仕事がどの程度制限されているかが確認されます。

外出や人との関わりが難しくなっている、睡眠が安定せず生活のリズムが崩れている、ご家族の援助がなければ通院や身の回りのことができないなど、普段の生活への影響を整理します。

働いている場合も、それだけで障害年金の対象外になるわけではありません。

仕事内容、勤務時間、欠勤や休職の状況、職場で受けている配慮、仕事を続けることによる日常生活への影響などを確認します。

▶ 働いていると障害年金はもらえない?就労中に確認されること

主治医へ普段の状況を伝えます

障害年金の診断書は、主治医が診察内容や治療経過などに基づいて作成します。

診察の時間だけでは、家庭での状態や仕事への影響、ご家族などから受けている援助が十分に伝わらないことがあります。

そのため、日常生活でできなくなっていること、周囲から受けている援助、仕事を続けるうえでの困難について、普段の診察で伝えておくことが大切です。

ご本人だけでは説明することが難しい場合は、ご家族から見た様子を整理したり、書面にまとめて主治医へ渡したりする方法もあります。

当事務所では、日常生活や仕事の状況を整理するための「困りごとシート」をご案内しています。

▶ 障害年金の困りごとシートとは?

仕事上の出来事が原因の場合は労災も確認します

業務上の事故、暴力、ハラスメントなどをきっかけとしてPTSDを発症した場合は、障害年金とは別に、労災保険の対象となる可能性があります。

障害年金と労災保険は、それぞれ要件や手続が異なります。

同じ傷病について障害年金と労災保険の給付を受ける場合は、労災保険の給付が調整されることがあります。

仕事上の出来事が原因と考えられる場合は、障害年金だけではなく、労災保険の申請についても確認することが大切です。

PTSDで障害年金を検討している方へ

PTSDは、診断名だけで障害年金の対象になるかどうかを判断することが難しい精神疾患です。

現在の診断名や治療経過、初診日、日常生活や仕事への影響を確認したうえで、申請を検討する必要があります。

また、仕事上の出来事が原因の場合は、障害年金とあわせて労災保険についても確認します。

ご自身だけで整理することが難しい場合も、現在分かっていることからご相談いただけます。

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