「診察になると緊張してしまう。」
「聞かれたことには答えられるけれど、自分から話すことが難しい。」
そのようなお話を伺うことがあります。
障害年金では、病名や症状だけでなく、病気によって日常生活や仕事にどのような支障が生じているかも確認されます。
一方、診察の限られた時間の中で、普段の生活についてすべて伝えることは簡単ではありません。
そこで当事務所では、現在の生活状況を確認するために「困りごとシート」をご案内しています。
今回は、困りごとシートの内容や、障害年金の申請でどのように活用しているかをご紹介します。
目次
困りごとシートとは?
困りごとシートは、病気の影響により、日常生活や仕事で困っていることを確認するためのシートです。
例えば、次のような内容を確認します。
・食事の準備や片付けができるか
・入浴や着替えを定期的に行えるか
・掃除や洗濯ができるか
・お金を計画的に管理できるか
・通院や服薬を続けられるか
・一人で買い物や外出ができるか
・人との関わりでどのような負担があるか
・ご家族などからどのような援助を受けているか
・仕事を続けるためにどのような配慮を受けているか
・仕事を終えた後の生活にどのような影響があるか
病名や症状だけでは分かりにくい、普段の生活の状況を振り返るために使用します。
援助を受けてできていることも確認します
日常生活では、ご家族などの声かけや援助によって、できていることがあります。
その援助が日常の一部になっていると、ご自身では「一人でできている」と思っている場合もあります。
例えば、
「家族が食事を用意しているため、食事には困っていない」
「家族に声をかけてもらっているため、通院できている」
「必要な支払いを家族に確認してもらっているため、金銭管理ができている」
と思っている場合があります。
しかし、家族の援助がなければ食事を取れない、通院日を忘れてしまう、必要な支払いができないという状況であれば、その援助についても確認する必要があります。
困りごとシートでは、ご自身ができていることだけでなく、誰かの声かけや援助によってできていることも確認します。
体調のよい日だけでなく、できない日の状況も確認します
精神疾患では、日によって体調やできることが異なる場合があります。
「調子のよい日は買い物へ行けるけれど、数日間外出できないことがある」
「入浴できる日もあるけれど、何日もできないことがある」
「仕事には行けても、帰宅後や休日はほとんど寝て過ごしている」
このような場合は、できた日の状況だけでなく、できない日の頻度や、その後の体調への影響も確認します。
困りごとシートには、普段の状態や体調が悪いときの様子を、具体的な出来事とあわせて記入していただきます。
すべての項目を書く必要はありません
「うまく書けるか不安です。」
「昔のことを思い出せません。」
という方もいらっしゃいます。
困りごとシートは、文章を上手に書くことや、すべての項目を埋めることが目的ではありません。
分かることや思い出せることから記入していただければ大丈夫です。
ご自身で書くことが難しい場合は、ご家族から見た普段の様子を参考にすることもできます。
文章を書くこと自体が負担になる場合は、無理に記入していただくことはありません。お話を伺いながら、必要な内容を確認します。
困りごとシートから主治医へ渡す参考資料を作成します
当事務所では、困りごとシートに記入された内容や、ご相談で伺った内容をもとに、主治医へ渡す参考資料を作成しています。
参考資料には、例えば次のような内容をまとめます。
・現在の症状
・食事、入浴、金銭管理などの日常生活の状況
・通院や服薬の状況
・ご家族などから受けている援助
・休職や退職に至った経緯
・現在の仕事や職場で受けている配慮
診察で言葉が出てこない場合や、伝えたいことを忘れてしまう場合も、資料を主治医へ渡すことで、普段の状況を伝えるための参考になります。
困りごとシートが診断書の内容を決めるものではありません
困りごとシートや、当事務所が作成する参考資料は、診断書の内容を指定するものではありません。
診断書は、主治医が診察内容や治療経過、医学的な判断に基づいて作成します。
困りごとシートは、診察室だけでは伝えにくい日常生活や仕事の状況を、主治医へ伝えるための参考資料です。
また、困りごとシートに記入した内容が、そのまま診断書へ記載されるとは限りません。
普段の生活を伝えるために
困りごとシートは、上手に書くためのものではありません。
普段の生活を振り返り、診察では言葉にしにくいことを伝えるための手がかりとして活用しています。
すべてを書けなくても、日常生活の中で困った一つの出来事から、現在の状況が見えてくることがあります。
書き方に迷うところや思い出せないところは、そのままでも構いません。ご相談の中でお話を伺いながら確認していきます。
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