障害年金のご相談では、
「知的障害は障害年金の対象になりますか。」
「療育手帳を持っていなくても申請できますか。」
「働いていると障害年金を受けることは難しいでしょうか。」
というご質問をいただくことがあります。
知的障害は、障害年金の対象となる障害の一つです。
ただし、知的障害と診断されていることや、療育手帳を持っていることだけで、障害年金を受けられるかどうかや障害等級が決まるわけではありません。
日常生活や仕事への影響、ご家族や支援者などから受けている援助をもとに、障害の状態が確認されます。
今回は、知的障害で障害年金を検討するときに確認したいことについてご紹介します。
知的障害は障害年金の対象になる可能性があります
知的障害によって日常生活や仕事が制限され、障害の状態が認定基準に該当する場合は、障害年金を受けられる可能性があります。
知的障害による障害の程度は、知能指数だけで判断されるわけではありません。
知能検査の結果に加えて、日常生活でどの程度の援助が必要か、意思疎通ができるか、社会生活にどのような支障があるかなどが確認されます。
同じ知的障害でも、生活環境や受けている援助によって、生活の状況は一人ひとり異なります。
そのため、診断名や検査結果だけではなく、援助を受けながらどのように生活しているのかを具体的に確認することが大切です。
知的障害では出生日が初診日として取り扱われます
知的障害については、原則として、出生日が障害年金上の初診日として取り扱われます。
そのため、大人になってから初めて医療機関を受診した場合や、知的障害と診断された時期が遅かった場合でも、診断を受けた日が初診日になるわけではありません。
また、知的障害だけで障害年金を請求する場合は、通常、受診状況等証明書によって出生日を初診日として証明する必要はありません。
発達障害や精神疾患など、ほかの障害を併せて請求する場合は、それぞれの診断や受診の経過を確認する必要があります。
保険料納付要件は問われません
知的障害については出生日が初診日として取り扱われるため、原則として、20歳前の傷病による障害基礎年金を請求します。
20歳前に初診日がある傷病については、保険料納付要件は問われません。
障害認定日は、原則として20歳に達した日です。
20歳に達した時点で障害の状態が認定基準に該当していた場合は、20歳から障害基礎年金を受けられる可能性があります。
20歳を過ぎてから障害の状態が重くなった場合も、その後の状態によって請求できる可能性があります。
なお、20歳前の傷病による障害基礎年金には、受給しているご本人の所得による支給制限があります。
療育手帳がなくても申請できます
障害年金と療育手帳は別の制度です。
そのため、療育手帳を持っていないことだけを理由に、障害年金を申請できないわけではありません。
また、療育手帳の判定区分と障害年金の等級は、必ずしも一致しません。
療育手帳では比較的軽い判定を受けている場合でも、実際の日常生活に多くの援助が必要であれば、その生活状況を確認します。
反対に、療育手帳を持っていることだけで、障害年金の受給が決まるわけでもありません。
療育手帳の有無や判定区分だけではなく、現在の日常生活と社会生活の状況が大切です。
日常生活で受けている援助を確認します
知的障害による障害年金では、食事、身の回りのこと、金銭管理、通院、外出、意思疎通などについて、どの程度一人で行えるかが確認されます。
一見すると自分で生活できているように見えても、ご家族が予定や金銭を管理し、必要な手続きを代わりに行うことで生活が保たれている場合があります。
グループホームなどで生活している場合も、支援を受けているために生活できていることがあります。
障害年金では、現在の生活場所だけではなく、どのような援助を、誰から、どの程度受けているのかを確認することが大切です。
ご本人にとっては、ご家族や支援者からの援助が日常の一部となっており、自分では援助を受けていることに気づきにくいこともあります。
そのような場合は、ご家族や支援者から見た普段の様子も参考になります。
働いていても障害年金の対象外とは限りません
知的障害があっても、働いていることだけで障害年金の対象外になるわけではありません。
働いている場合は、一般雇用、障害者雇用、福祉的就労のいずれであるかに加えて、仕事内容、勤務時間、収入、職場で受けている援助などが確認されます。
一人で仕事を行っているのか、支援者や職場の担当者から声かけや見守りを受けているのかによっても、勤務の状況は異なります。
また、仕事には通えていても、ご家族が起床や身支度を手伝い、送迎や金銭管理を行うことで勤務を続けられている場合もあります。
働いているという事実だけではなく、どのような援助を受けて働いているのか、仕事以外の日常生活を一人で行えるのかを確認することが大切です。
▶ 働いていると障害年金はもらえない?就労中に確認されること
主治医へ日常生活の状況を伝えます
障害年金の診断書は、主治医が診察内容や検査結果、日常生活の状況などに基づいて作成します。
診察室での受け答えだけでは、ご家庭や職場で受けている援助が十分に伝わらないことがあります。
そのため、ご家族や支援者が行っていること、援助がなければ難しいことについて、主治医へ具体的に伝えておくことが大切です。
ご本人だけで説明することが難しい場合は、ご家族が診察に同席したり、普段の生活状況を書面にまとめて主治医へ渡したりする方法もあります。
当事務所では、日常生活や仕事の状況を整理するための「困りごとシート」をご案内しています。
ご本人からの相談が難しい場合はご家族からご相談ください
知的障害により、ご本人が障害年金の制度や手続きを理解することや、ご自身の生活状況を説明することが難しい場合があります。
そのような場合は、最初にご家族からご相談いただくこともできます。
療育手帳を持っていない場合や、診断を受けた時期が遅い場合、働いている場合も、それだけで障害年金の対象外になるわけではありません。
現在の診断、これまでの経過、日常生活や仕事の状況、ご家族や支援者が行っている援助など、分かっていることから一緒に整理します。
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