発達障害で障害年金を申請できますか?

障害年金のご相談では、
「発達障害でも障害年金を申請できますか。」
「大人になってから診断されましたが、対象になりますか。」
「働いているため、障害年金を受けることは難しいでしょうか。」
というご質問をいただくことがあります。

発達障害は、障害年金の対象となる可能性があります。

ただし、発達障害と診断されていることだけで、障害年金を受けられるかどうかや障害等級が決まるわけではありません。

幼少期から現在までの経過、日常生活や仕事への影響、ご家族や職場などから受けている援助をもとに、障害の状態が確認されます。

また、発達障害は生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられていますが、障害年金における初診日が必ず生まれた日になるわけではありません。

今回は、発達障害で障害年金を検討するときに確認したいことについてご紹介します。

発達障害は障害年金の対象になる可能性があります

発達障害によって日常生活や仕事が制限され、障害の状態が認定基準に該当する場合は、障害年金を受けられる可能性があります。

障害年金を受けるためには、主に次の3つの要件を確認します。

・初診日を確認できること
・保険料納付要件を満たしていること
・障害の状態が認定基準に該当していること

発達障害者支援法では、発達障害について、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。

ICD-10では、発達障害に関連するものとして、「心理的発達の障害」と「小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害」などが設けられています。

前者には広汎性発達障害や学習能力の特異的発達障害、後者には多動性障害やチック障害などが含まれます。

同じ発達障害でも、特性の現れ方や生活への影響は一人ひとり異なります。

そのため、診断名だけではなく、日常生活や仕事にどのような支障が生じ、どのような援助を受けているかを確認することが大切です。

幼少期には発達障害に気づかれないことがあります

発達障害の特性は通常、低年齢のうちから現れます。

しかし、ご家族や学校の先生などの援助によって大きな問題が表面化しなかったり、本人の性格や個性として受け止められたりして、幼少期には発達障害に気づかれないことがあります。

学校生活では周囲に合わせて過ごすことができていても、実際には、ご家族による身支度や持ち物の確認、学校からの個別の声かけなどによって生活が成り立っている場合もあります。

その後、進学、一人暮らし、就職などによって、自分で判断しなければならないことや対人関係が増えると、それまで周囲の援助によって補われていた困難が明らかになることがあります。

仕事の指示を理解することが難しい、予定の変更に対応できない、職場の人との関係がうまくいかないなどの問題が重なり、初めて医療機関を受診する方もいらっしゃいます。

発病日と初診日は同じではありません

発達障害は、生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられているため、障害年金の実務では、発病日は原則として生まれた日として整理されます。

しかし、発病日が生まれた日であっても、障害年金における初診日まで生まれた日になるわけではありません。

発達障害についての初診日は、原則として、発達障害に関する症状について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

幼少期には発達障害に気づかれず、大人になってから初めて医療機関を受診した場合は、その受診日が初診日となることがあります。

学校の先生、スクールカウンセラー、発達支援センターなどへ相談した日ではなく、医師または歯科医師の診療を受けた日を確認します。

発達障害と診断された医療機関が、必ず初診の医療機関になるとは限りません。

診断を受ける前に、不眠、抑うつ状態、不安、対人関係の問題などで医療機関を受診している場合は、以前の受診と現在の発達障害や併存する精神疾患との関係を確認します。

このようにして、障害年金上の初診日と初診の医療機関を整理します。初診の医療機関と、現在診断書を作成する医療機関が異なる場合は、原則として初診の医療機関へ「受診状況等証明書」の作成を依頼します。

初診の医療機関にカルテが残っていない場合や、医療機関が廃院している場合は、ほかの資料によって初診日を証明できる可能性があります。

初診日によって、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらを請求することになるのか、保険料納付要件を満たしているかなどが変わります。

なお、知的障害を伴う場合は、発達障害だけの場合とは初診日の取扱いが異なることがあります。

知的障害については、原則として出生日が初診日として取り扱われるため、複数の診断がある場合は、それぞれの診断名と受診の経過を確認したうえで初診日を整理します。

▶ 障害年金の初診日はいつ?初診日が分からない場合の確認方法

▶ 昔のカルテが残っていないと言われました。障害年金は申請できますか?

幼少期から現在までの経過を確認します

発達障害で障害年金を請求する場合は、現在の状態だけではなく、幼少期から現在までの経過を確認します。

学校生活、進学、就職、一人暮らしなど、生活環境が変わったときにどのような困難が生じたのか、そのときに周囲からどのような援助を受けていたのかを整理します。

母子健康手帳、通知表、学校の記録、療育に関する資料などが参考になることもありますが、すべての資料が残っている必要はありません。

ご本人が幼少期のことを覚えていない場合は、ご家族から当時の様子を聞きながら振り返ることもできます。

発達障害と診断される前に、うつ病、適応障害、不安障害などと診断されている場合は、それぞれの症状や治療経過についても確認します。

日常生活と仕事への影響を確認します

障害年金では、診察室での様子だけではなく、普段の生活でどの程度の支障が生じているかが大切です。

診察では落ち着いて話すことができても、ご家族による金銭管理、服薬や通院の確認、予定の管理などがなければ生活を維持できない場合があります。

ご本人にとっては周囲の援助が日常の一部となっており、自分では援助を受けていることに気づいていないこともあります。

そのため、ご本人から見た状況だけではなく、ご家族などから見た普段の様子も参考になります。

また、働いていることだけで障害年金の対象外になるわけではありません。

働いている場合は、雇用形態や勤務時間だけではなく、仕事内容、欠勤や休職の状況、職場で受けている配慮や援助なども確認されます。

職場では何とか働けていても、帰宅後は疲れ切り、食事、入浴、家事などができない場合もあります。

現在働いているという事実だけではなく、どのような援助や配慮を受けて勤務しているのか、仕事以外の生活にどのような影響が生じているのかを確認することが大切です。

▶ 働いていると障害年金はもらえない?就労中に確認されること

主治医へ普段の状況を伝えます

障害年金の診断書は、主治医が診察内容や治療経過などに基づいて作成します。

そのため、日常生活でご家族などから受けている援助や、仕事を続けるために職場から受けている配慮について、普段の診察で伝えておくことが大切です。

ご本人だけでは生活上の困難を説明することが難しい場合は、ご家族から見た様子を整理したり、書面にまとめて主治医へ渡したりする方法もあります。

当事務所では、日常生活や仕事の状況を整理するための「困りごとシート」をご案内しています。

▶ 困りごとシートとは?

大人になってから診断された場合もご相談ください

発達障害は、幼少期に診断される方だけではありません。

進学や就職をきっかけに困難が明らかになり、大人になってから初めて発達障害と診断される方もいらっしゃいます。

大人になってから診断された場合も、初診日、幼少期からの経過、現在の日常生活や仕事の状況を確認することで、障害年金を申請できる可能性があります。

「大人になってから診断されたため、申請できるか分からない。」

「働いているため、障害年金は難しいと思っている。」

「幼少期のことをうまく説明できない。」

そのような段階でもご相談いただけます。

分かっていることから、初診日とこれまでの経過、現在の生活状況を一緒に整理します。

あわせて読みたい記事

障害年金の初診日はいつ?初診日が分からない場合の確認方法

障害年金における初診日の考え方や、初診日が分からない場合に確認したい資料についてご紹介しています。
▶ 障害年金の初診日はいつ?初診日が分からない場合の確認方法

働いていると障害年金はもらえない?就労中に確認されること

働いている場合に確認される勤務状況、職場で受けている配慮、日常生活への影響についてご紹介しています。
▶ 働いていると障害年金はもらえない?就労中に確認されること

障害年金で診断書はなぜ大切?「病名だけでは決まらない」と言われる理由

障害年金の診断書の役割や、日常生活と仕事への影響を主治医へ伝える大切さについてご紹介しています。
▶ 障害年金で診断書はなぜ大切?「病名だけでは決まらない」と言われる理由

関連記事

RELATED POST

PAGE TOP
MENU
無料相談・お問い合わせ