障害年金のご相談では、
「主治医から、障害年金の診断書は書けないと言われました。」
「診断書を書いてもらえなければ、障害年金は請求できないのでしょうか。」
というご質問をいただくことがあります。
主治医から「診断書は書けません」と言われると、障害年金の請求を諦めなければならないと思ってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、診断書を作成できない理由は一つではありません。
通院を始めて間もない場合もあれば、依頼した時期の状態を確認できない場合や、主治医がもう少し治療経過を確認したいと考えている場合もあります。
まずは、主治医からどのような説明を受けたのかを確認することが大切です。
今回は、障害年金の診断書を書いてもらえない理由や、断られた後に確認したいことについてご紹介します。
診断書を書いてもらえない理由を確認します
主治医から「診断書は書けません」と言われた場合は、最初に作成できない理由を確認します。
例えば、次のような理由が考えられます。
・通院を始めて間もなく、病状や生活状況を十分に把握できていない
・もう少し治療経過を確認する必要がある
・障害年金を請求する病気について診察していない
・診断書への記載を求められた時期には診察していない
・障害認定日頃の診療録が残っていない
・診療録から当時の状態を確認できない
・現在の病状では診断書を作成することが難しいと判断している
同じ「書けません」という言葉でも、「現時点では書けない」という場合と、「指定された時期の診断書は書けない」という場合では、その後に確認することが異なります。
詳しい理由を聞けていない場合は、
「今は作成できないということでしょうか。」
「今後も作成することは難しいのでしょうか。」
「作成できない理由を教えていただけますか。」
など、主治医へ確認してみましょう。
現在の診断書を書いてもらえない場合
現在の障害の状態で請求する場合は、現在の病状や治療経過を診ている主治医へ診断書の作成を相談します。
ただし、転院したばかりなど、通院を始めてから間もない場合は、主治医が現在の病状や日常生活の状況を十分に把握できていないことがあります。
その場合は、すぐには作成できなくても、今後の診察や治療経過を踏まえて、改めて相談できることがあります。
まずは、次の内容を確認します。
・作成するために、もう少し通院期間が必要なのか
・いつ頃であれば改めて相談できるのか
・日常生活や仕事の状況が主治医へ伝わっているか
・障害年金の請求を考えていることが正しく伝わっているか
診断書には、病名や症状だけでなく、日常生活や仕事への影響も記載されます。
食事、入浴、通院、服薬、金銭管理、外出などについて、実際に困っていることや、ご家族などから受けている援助を普段の診察で伝えておくことも大切です。
障害認定日頃の診断書を書いてもらえない場合
障害認定日頃の状態で請求する認定日請求では、原則として、障害認定日から3か月以内の状態を記載した診断書が必要になります。
そのため、現在の主治医ではなく、障害認定日頃に受診していた医療機関へ診断書の作成を相談することがあります。
しかし、次のような事情により、当時の診断書を作成してもらえない場合があります。
・障害認定日頃に医療機関を受診していなかった
・当時の診療録が残っていない
・診療録に当時の病状を確認できる記載がない
・当時通院していた医療機関が閉院している
このような場合は、現在の主治医へ依頼し直せば過去の診断書を書いてもらえるとは限りません。
まずは、障害認定日頃に受診していた医療機関を確認し、当時の診療録が残っているか、診断書を作成できるかを問い合わせます。
障害認定日頃の診断書を準備できない場合は、現在の状態による事後重症請求を検討することがあります。
ただし、どの請求方法になるかは、初診日、受診歴、障害認定日頃の状態、現在の状態などによって異なります。
認定日請求については、こちらの記事でご紹介しています。
▶ 障害年金は過去の分も受け取れますか?
現在の状態で請求する方法については、こちらの記事でご紹介しています。
▶ 今の状態で障害年金は請求できますか?
「障害年金の対象にならないと思う」と言われた場合
主治医から、
「障害年金の対象にはならないと思います。」
「診断書を書いても、受給は難しいと思います。」
と言われることもあります。
障害年金を受給できるかどうかは、診断書を含む提出書類をもとに、日本年金機構の審査によって決まります。
一方で、診断書を作成できるか、どのような内容を記載するかは、医師が診察内容や診療録などに基づいて判断します。
主治医から対象にならないと言われた場合も、どのような理由からそう判断されたのかを確認することが大切です。
また、診察では症状について伝えていても、日常生活で困っていることや、ご家族などから受けている援助まで十分に伝えられていないことがあります。
診察で「大丈夫です」「変わりありません」と答えている場合は、実際の生活状況が主治医へ伝わっているかを振り返ってみましょう。
診断書を書いてもらうためだけの転院は慎重に考えます
診断書を書いてもらえないと言われると、別の医療機関へ転院すれば作成してもらえるのではないかと考える方もいらっしゃいます。
しかし、転院後の医師は、これまでの病状や日常生活の状況をまだ十分に把握していません。
そのため、転院してもすぐに診断書を作成してもらえるとは限りません。
また、障害認定日頃の診断書については、転院先の医師が当時の診察をしていないため、作成が難しいことがあります。
診断書を書いてもらうことだけを目的にすぐ転院するのではなく、まずは現在の主治医が作成できない理由を確認しましょう。
治療を続けるうえで転院が必要かどうかは、診断書とは分けて慎重に考える必要があります。
主治医へ改めて相談するときに伝えること
診断書について改めて相談するときは、障害年金の請求を考えていることを主治医へ伝えます。
例えば、
「障害年金の請求を考えています。診断書を作成していただくことはできますか。」
と相談します。
あわせて、普段の生活について、次のようなことも伝えておきましょう。
・食事の準備や片付けができるか
・入浴や着替えができているか
・通院や服薬に援助が必要か
・一人で買い物や外出ができるか
・金銭管理や必要な手続きができるか
・ご家族などからどのような援助を受けているか
・休職や退職に至った経緯
・勤務時間や仕事内容、職場で受けている配慮
・仕事を終えた後や休日の生活状況
診察室でうまく説明できない場合は、困っていることを書面にまとめて渡す方法もあります。
当事務所では、日常生活で困っていることを整理するための「困りごとシート」をご案内しています。
▶ 困りごとシートとは?
診断書を書いてもらえたケースもあります
これまでのご相談には、主治医から一度「診断書は書けません」と言われた方もいらっしゃいました。
ご相談では、主治医からどのような説明を受けたのか、通院期間や治療経過、日常生活で困っていることなどを確認しました。
そのうえで、障害年金の請求を考えていることや、現在の日常生活の状況を主治医へ伝えるための内容を整理しました。
改めてご本人から主治医へ相談していただいたところ、診断書を作成していただけたケースもあります。
ただし、同じように相談すれば、必ず診断書を作成してもらえるわけではありません。
診断書を作成できるかどうかや、どのような内容を記載するかは、医師が診察内容や診療録などに基づいて判断します。
社会保険労務士が診断書の内容を決めたり、希望する内容を医師へ求めたりすることはできません。
ご相談では作成できない理由と受診経過を確認します
当事務所では、診断書を書いてもらえないと言われた場合に、主に次の内容を確認しています。
・誰に診断書をお願いしたのか
・現在と障害認定日頃のどちらの診断書をお願いしたのか
・主治医からどのような説明を受けたのか
・現在の医療機関へ通院している期間
・これまでに受診した医療機関
・日常生活や仕事の状況を主治医へ伝えられているか
その内容をもとに、現在の主治医へ改めて相談する際に伝えること、以前の医療機関への確認が必要か、検討できる請求方法などを整理します。
ご相談の時点で、主治医から詳しい理由を聞けていなくても大丈夫です。
分かっていることから確認していきます。
診断書を書いてもらえない段階でもご相談ください
主治医から「診断書は書けません」と言われても、その理由は一人ひとり異なります。
通院を始めて間もないためなのか、もう少し治療経過を見る必要があるのか、依頼した時期の状態を確認できないのかによって、次に確認することも変わります。
また、現在の診断書と障害認定日頃の診断書では、作成を相談する医療機関が異なることがあります。
「なぜ書いてもらえないのか分からない。」
「もう一度主治医に相談してよいのか迷っている。」
「以前の病院にも確認する必要があるのか分からない。」
そのような場合は、主治医から受けた説明やこれまでの受診歴を伺い、次に確認することを一緒に整理します。
主治医から詳しい理由を聞けていない段階でも、ご相談いただけます。
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