障害年金のご相談では、
「障害年金を請求しましたが、不支給になりました。」
「一度不支給になると、もう請求できないのでしょうか。」
というご質問をいただくことがあります。
障害年金が一度不支給になっても、それだけで今後請求できなくなるわけではありません。
不支給決定に納得できない場合は「審査請求」、現在の状態などをもとに改めて請求する場合は「再請求」を検討することがあります。
ただし、どちらを検討するかは、不支給となった理由、最初に提出した書類、現在の障害の状態などによって異なります。
今回は、障害年金が不支給になった後に確認することや、審査請求と再請求の違いについてご紹介します。
不支給後には審査請求と再請求があります
障害年金が不支給になった後に検討する手続きには、主に審査請求と再請求があります。
審査請求は、最初の不支給決定の見直しを求める手続きです。
再請求は、新たに障害年金を請求し、改めて審査を受けるものです。
どちらを検討するかは、不支給となった理由や最初に提出した書類、その後の病状などによって異なります。
まずは、不支給決定通知書に記載された理由を確認します。
不支給決定通知書に記載された理由を確認します
障害年金が不支給となる理由は、一つではありません。
障害年金を受けるためには、主に次の要件を確認します。
・初診日に関する要件
・保険料納付要件
・障害状態に関する要件
不支給決定通知書が届いたら、まず、どの要件が認められなかったのかを確認します。
例えば、次のような理由があります。
・初診日を確認できなかった
・保険料納付要件を満たしていなかった
・障害の状態が認定基準に該当しないと判断された
・請求した時点の障害状態を確認できなかった
障害状態が理由となった場合、不支給決定通知書に、認定された障害の程度や、請求した等級に該当しないと判断された理由が詳しく記載されていることがあります。
精神疾患による請求では、診断書に記載された日常生活能力、症状、治療経過、就労状況などをもとに、どの程度の障害状態と判断されたのかが示される場合もあります。
そのため、最初に不支給決定通知書の内容を確認し、
・どの等級に該当しないと判断されたのか
・どのような事実をもとに判断されたのか
・提出した書類の内容がどのように評価されたのか
を整理します。
ただし、不支給決定通知書に詳しい理由が記載されていても、請求時に提出した書類の内容まで確認しなければ、今後の対応を判断できないことがあります。
不支給決定通知書とあわせて、診断書、病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書などを確認することが大切です。
初診日や保険料納付要件が理由となった場合
初診日を確認できなかったことや、保険料納付要件を満たしていなかったことが不支給の理由となっている場合は、診断書を作り直すだけでは解決しません。
初診日を確認できなかった場合は、最初に受診した医療機関の記録や、ほかに受診した時期を確認できる資料がないかを調べます。
例えば、次のような資料です。
・診察券
・お薬手帳
・紹介状
・健康保険の受診記録
・次に受診した医療機関の診療録
・障害者手帳の申請時に使用した診断書
・生命保険などの手続きで使用した診断書
一方、保険料納付要件は、原則として初診日の前日時点の納付状況をもとに確認します。
同じ初診日を前提とする場合は、改めて請求しても納付状況が変わるわけではありません。
そのため、初診日の判断や年金加入記録に確認すべき点がないかを整理する必要があります。
障害の状態が理由となった場合は通知書と診断書を照らし合わせます
障害の状態が認定基準に該当しないと判断された場合は、不支給決定通知書に記載された決定理由と、請求時に提出した診断書などを照らし合わせます。
精神疾患による障害年金では、病名や症状だけでなく、次のような日常生活や仕事の状況も確認されます。
・食事の準備や片付けができるか
・入浴や着替えができているか
・通院や服薬に援助が必要か
・金銭管理や必要な手続きができるか
・一人で外出や買い物ができるか
・ご家族などからどのような援助を受けているか
・どのような状況で働いているか
・職場でどのような配慮を受けているか
・仕事を終えた後や休日にどのような影響があるか
不支給決定通知書に、認定された障害の程度や判断理由が記載されている場合は、その判断が診断書のどの記載に基づくものなのかを確認します。
例えば、日常生活能力について比較的軽い評価となっている、ご家族などから受けている援助が記載されていない、就労状況だけでは仕事上の制限や配慮が分からないといった場合があります。
診断書に記載された内容が、請求時の日常生活や仕事の状況と大きく異なっていないかを確認することも大切です。
また、診断書と病歴・就労状況等申立書の間で、初診日、受診歴、病状の経過、日常生活、就労状況などに大きな食い違いがないかも確認します。
ただし、診断書が希望していた内容や等級と異なることだけを理由に、審査請求や再請求をすれば認められるものではありません。
診断書は、医師が診察内容や診療録などに基づいて作成するものです。
不支給決定通知書に記載された理由、最初に提出した書類、請求時の生活状況、その後の病状の変化などを確認したうえで、今後の対応を検討します。
不支給決定の見直しを求める審査請求
不支給決定に納得できない場合は、社会保険審査官へ審査請求を行う方法があります。
審査請求は、新たに障害年金を請求する手続きではありません。
最初の不支給決定が適切であったかについて、見直しを求める手続きです。
審査請求は、原則として、不支給決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。
そのため、審査請求を検討する場合は、不支給決定通知書が届いた日を確認し、早めに提出書類や不支給理由を確認することが大切です。
審査請求を行う場合は、
・不支給決定通知書にどのような理由が記載されているか
・認定された障害の程度について、どの点に納得できないのか
・提出した診断書などの内容が、どのように評価されたと考えられるか
・請求時の生活状況について、正しく確認されていない事実があるか
・その事実を診療録やほかの資料によって確認できるか
などを整理します。
不支給決定通知書に詳しい理由が記載されている場合は、単に「症状が重い」と主張するのではなく、記載された判断理由のどの部分に問題があると考えるのかを具体的に検討する必要があります。
一方、最初に提出した診断書の内容からは、不支給決定を見直すことが難しい場合もあります。
審査請求を行えば、必ず不支給決定が変更されるわけではありません。
不支給決定通知書と提出書類を照らし合わせ、審査請求で見直しを求める根拠があるかどうかを確認することが大切です。
審査請求の期限については、近畿厚生局のホームページでも案内されています。
改めて障害年金を請求する再請求
障害年金が不支給となった後に、改めて障害年金を請求することを「再請求」と呼ぶことがあります。
例えば、最初の請求後に症状が重くなった場合や、日常生活や仕事への影響が変わった場合などは、現在の状態による再請求を検討することがあります。
再請求は、以前の不支給決定を見直してもらう手続きではありません。
新たな請求として、改めて審査を受けるものです。
そのため、最初の請求と同じ内容の診断書や申立書をそのまま提出しても、結果が変わるとは限りません。
最初の請求時から、
・症状がどのように変化したか
・日常生活への影響がどのように変わったか
・ご家族などから受ける援助がどのように変わったか
・仕事や休職、退職の状況がどのように変わったか
などを確認します。
現在の状態による事後重症請求として改めて請求し、障害年金が認められた場合は、原則として再請求した月の翌月分から年金が支給されます。
最初に請求した月まで自動的にさかのぼって支給されるわけではありません。
請求時期によって支給開始時期が変わるため、再請求を検討する場合も早めの確認が大切です。
現在の状態で請求する方法については、こちらの記事でご紹介しています。
▶ 今の状態で障害年金は請求できますか?
審査請求と再請求のどちらを検討するか
審査請求と再請求のどちらを検討するかは、一律に決めることはできません。
主に次の内容を確認します。
・不支給となった理由
・不支給決定通知書が届いた時期
・最初に提出した診断書の内容
・病歴・就労状況等申立書の内容
・初診日や保険料納付要件
・請求後の病状や生活状況の変化
・どの時点からの受給を求めるのか
最初の不支給決定が適切ではないと考える場合は、審査請求を検討します。
一方、最初の請求後に症状が重くなった場合などは、現在の状態による再請求を検討することがあります。
状況によっては、審査請求と再請求の双方について確認する必要があります。
審査請求には期限があるため、不支給決定通知書が届いた場合は、そのままにせず早めに確認することが大切です。
ご相談の際に確認する資料
不支給後の対応についてご相談いただく場合は、お持ちであれば次の資料をご用意ください。
・不支給決定通知書
・年金請求時に提出した診断書の写し
・病歴・就労状況等申立書の写し
・受診状況等証明書の写し
・年金事務所などから届いた照会書類
・そのほか請求時に提出した書類
すべての資料がそろっていなくても、ご相談いただけます。
不支給決定通知書に記載された理由や通知書が届いた日、どのような方法で請求したのかを伺い、お手元にある資料から確認します。
提出した書類の控えをお持ちでない場合は、そのこともお知らせください。
不支給決定通知書が届いたら早めにご相談ください
障害年金が不支給になっても、それだけで今後の請求ができなくなるわけではありません。
不支給決定の見直しを求める審査請求と、現在の状態などをもとに改めて請求する再請求では、手続きの目的や支給開始時期が異なります。
どちらを検討するかは、不支給決定通知書に記載された理由、最初に提出した書類、現在の病状や生活状況などによって異なります。
「不支給決定通知書に書かれている理由がよく分からない。」
「審査請求と再請求のどちらを考えればよいのか分からない。」
「もう一度請求できる可能性があるのか確認したい。」
そのような場合は、不支給決定通知書と請求時に提出した書類を確認し、不支給となった理由を整理します。
診断書の内容について主治医への確認が必要な場合は、どのような点を確認すればよいのか、どのように現在の状況を伝えるのかについても一緒に考えます。
ご本人だけで説明することが難しい場合は、主治医へ伝える内容を書面に整理したり、必要に応じて主治医へのお手紙を作成したりすることもあります。
これは、診断書を希望する内容に変更してもらうものではありません。
主治医の医学的な判断を前提として、これまでの治療経過や日常生活、仕事の状況などが十分に伝わっているかを確認するためのものです。
審査請求には期限があります。
不支給決定通知書が届いた場合は、早めにご相談ください。
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