労災のご相談では、
「労災申請には、どのような資料を準備すればよいですか。」
「パワハラを受けましたが、録音は残っていません。」
「会社の勤怠記録を持っていなくても申請できますか。」
というご質問をいただくことがあります。
精神疾患の労災申請に向けて準備したい資料は、長時間労働、ハラスメント、仕事量の増加など、発病前に起きた出来事によって異なります。
今回は、精神疾患の労災申請に向けて準備したい資料と、資料が手元にない場合の対応についてご紹介します。
資料は事実関係を確認する手掛かりになります
精神疾患の労災申請では、対象となる精神疾患を発病しているか、発病前おおむね6か月の間に仕事による強い心理的負荷があったかなどが確認されます。
仕事上の出来事や勤務状況を確認できる資料は、事実関係を確認する手掛かりになります。
勤怠記録など、労働者自身では入手できない資料については、労働基準監督署の調査の中で会社に確認される場合があります。本人や関係者への聞き取りも行われます。
仕事上の出来事を時系列で確認します
労災申請では、仕事量や仕事内容の変化、長時間労働、異動、職場のトラブルやハラスメント、会社へ相談した後の対応などを確認します。
あわせて、体調がどのように変化し、いつ医療機関を受診したのかについても、仕事上の出来事とともに時系列で確認します。
正確な年月日を思い出せない場合は、メール、スケジュール帳、給与明細、医療機関の領収書などが、出来事の順序を確認する手掛かりになることがあります。
当事務所では、お話を伺いながら、仕事上の出来事や体調の経過を一緒に確認しています。
労働時間を確認する資料
長時間労働が関係している場合は、手元に実際の勤務状況を確認する手掛かりがないかを確認します。
例えば、次のようなものがあります。
・給与明細や勤務表
・業務用メールやチャット
・業務日報やスケジュール
・交通系ICカードの利用履歴
・タクシーの領収書
・当時作成したメモや日記
これらの資料は、一つだけで労働時間が決まるものではありませんが、実際の勤務状況を確認する際の手掛かりになる場合があります。
会社の勤怠記録と、実際に働いていた時間が一致していないこともあります。
タイムカードを打刻した後の業務、始業前の準備、自宅へ持ち帰った仕事、休日のメール対応などがあった場合は、分かる範囲で勤務状況を確認します。
▶ 長時間労働でうつ病や適応障害になった場合、労災になりますか?
ハラスメントや職場のトラブルに関する資料
パワーハラスメント、いじめ、嫌がらせ、上司や同僚とのトラブルなどが関係している場合は、実際にどのような言動があったのかを確認します。
手元に次のような資料がある場合は、事実関係を確認する際の手掛かりになります。
・メールやチャット
・録音や録画
・会社や外部の相談窓口へ相談した記録
・業務指示書や人事評価書などの会社資料
・出来事を記録したメモや日記
・出来事を知っている関係者の情報
ハラスメントや職場のトラブルについては、これらの資料だけでなく、本人、会社、関係者への聞き取りなど、さまざまな情報をもとに事実関係が確認されます。
メモを作成する場合は、「パワハラを受けた」という評価だけではなく、いつ、どこで、誰から、どのような発言や行為を受けたのかを記録します。
その場にいた人や会社へ相談した内容、その後の対応なども、分かる範囲で記録しておきます。
▶ パワハラでうつ病や適応障害になった場合、労災になりますか?
仕事量や仕事内容の変化に関する資料
人員不足、異動、担当業務の追加、昇格などによって仕事の負担が増えた場合は、その前後で仕事量や仕事内容がどのように変化したのかを確認します。
手元に次のような資料がある場合は、変化の内容を確認する手掛かりになります。
・業務分担表や組織図
・異動や昇格などの辞令
・業務日報や作業記録
・上司からのメールやチャット
・担当件数や処理件数が分かる資料
・引継書
資料が手元にない場合は、異動前後の仕事の違い、増えた業務、責任の変化、周囲の人員などについて、本人や会社、関係者への聞き取りなどによって確認されます。
発病時期や治療経過に関する資料
労災保険の請求書に傷病の発生年月日を記載するときは、初めて医療機関を受診した日や、傷病手当金支給申請書に医師が記載した発病年月日などを確認します。
医療機関を受診する前に、不眠や頭痛などの症状のため市販薬を購入している場合は、その領収書や購入履歴が、体調に変化が現れた時期を確認する資料になることがあります。
ただし、労災認定上の発病時期が、初診日や請求書に記載した日と必ず同じになるわけではありません。
発病の有無や発病時期は、主治医の意見書や診療録、本人や関係者からの聞き取りなどをもとに判断されます。
会社が保管している資料
タイムカードや勤怠管理システムの記録、入退館記録、業務用パソコンのログなどは、労働者自身では入手できない場合があります。
会社が保管していると考えられる資料については、資料の名称や保管先を分かる範囲で申立書などに記載し、労働基準監督署へ伝えます。
その内容をもとに、労働基準監督署の調査の中で、会社が保管している資料が確認される場合があります。
会社の協力が得られない場合
会社が請求書への事業主証明に応じない場合でも、労災保険の請求手続きを進めることはできます。
事業主証明を受けられない場合は、勤務していた事業場の所在地を管轄する労働基準監督署へ、その旨を伝えます。
労災に該当するかどうかは、労働基準監督署が本人、会社、関係者への聞き取りや資料の確認などを行ったうえで判断します。
資料がそろっていない段階でもご相談ください
精神疾患の労災申請では、勤務状況、仕事上の出来事、発病時期などが確認されます。
ご相談の前に、すべての資料を集めたり、出来事を時系列にまとめたりする必要はありません。
当事務所では、お話を伺いながら、どのような出来事があったのか、現在どのような資料が残っているのか、会社にどのような資料があると考えられるのかを一緒に確認しています。
「何を準備すればよいのか分からない。」
「録音やメールがほとんど残っていない。」
「体調が悪く、自分で出来事を整理することが難しい。」
そのような場合も、まずは現在の状況やこれまでの経過をお聞かせください。
お話を伺いながら、申請に向けて確認したいことや準備できる資料を一緒に考えていきます。
※個別の労災認定は、労働基準監督署が事実関係を調査したうえで判断します。ご相談いただいた時点で認定結果を保証するものではありません。
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