精神疾患の労災申請は、請求書を提出するだけでよいですか?

労災のご相談では、
「労災保険の請求書を提出すれば、あとは結果を待つだけですか。」
「労働基準監督署から申立書が届きましたが、何を書くのでしょうか。」
「仕事以外のことも回答する必要がありますか。」
というご質問をいただくことがあります。

精神疾患の労災申請は、労災保険の請求書を提出すれば手続きが終わるわけではありません。

請求書の提出後、労働基準監督署から申立書が送られ、受診状況、これまでの病歴、生活状況などについて回答を求められます。

その後、本人や会社、関係者への聞き取り、勤務記録や医療に関する資料の確認などが行われます。

今回は、精神疾患の労災申請について、請求書を提出した後の流れや、申立書で確認されることをご紹介します。

請求書の提出後に調査が始まります

労災保険の請求は、請求する給付に応じた請求書を、医療機関や労働基準監督署へ提出して行います。

ただし、請求書に記載できる内容だけでは、精神疾患の発病前に起きた出来事や勤務状況などを詳しく確認することができません。

そのため、請求書の提出後、労働基準監督署から送られる申立書への回答や、本人への聞き取りなどが行われます。

必要に応じて、会社、医療機関、出来事を知っている関係者などへの調査も行われます。

これらの調査結果をもとに、労災に該当するかどうかが判断されます。

労働基準監督署から申立書が送られます

申立書には、医療機関の受診状況、これまでの病歴、家族や生活の状況などを記載する項目が設けられています。

仕事上の出来事については、別の書類への記載や、労働基準監督署による聞き取りを求められることもあります。

送られる書類の様式や質問内容は、申請内容などによって異なる場合があります。

申立書が届いた場合は、質問に沿って回答し、指定された期限までに提出します。

記入欄だけでは説明しきれない場合は、仕事上の出来事や症状の経過などを別紙にまとめて提出することもあります。

仕事上の出来事を具体的に伝えます

精神疾患の労災認定では、発病前おおむね6か月の間に、仕事による強い心理的負荷があったかが確認されます。

確認される仕事上の出来事には、長時間労働、仕事量や仕事内容の変化、配置転換、職場でのトラブル、ハラスメントなどがあります。

大切なのは、「パワハラを受けた」「仕事が大変だった」という評価だけではなく、実際に何が起きたのかを伝えることです。

パワーハラスメントが関係している場合は、実際の発言や行為、続いた期間、会社へ相談した後の対応などを確認します。

長時間労働が関係している場合は、勤務時間だけでなく、仕事量や仕事内容がどのように変化したのかも確認されることがあります。

受診状況や症状の経過も確認されます

精神疾患の労災認定では、対象となる精神疾患を発病しているか、いつ頃発病したのかが確認されます。

そのため、申立書では、医療機関の受診状況や治療の経過について回答を求められます。

初めて医療機関を受診した日より前から症状が現れていた場合は、どのような症状があり、生活や仕事にどのような変化があったのかを記載します。

ただし、申立書に記載した日や初診日が、そのまま労災認定上の発病日になるわけではありません。

発病の有無や発病時期は、主治医の意見書や診療録、本人や関係者からの聞き取りなどをもとに判断されます。

これまでの病歴についても回答します

申立書では、今回の精神疾患だけでなく、これまでに治療を受けた病気について回答を求められます。

精神疾患の既往歴がある場合は、過去の症状や治療期間、今回の発病までの経過などが確認されます。

過去に精神科や心療内科を受診していたことだけで、直ちに労災の対象外になるわけではありません。

過去の治療が終了していたのか、症状が続いていたのか、今回の症状がいつ頃から現れたのかなどを確認したうえで判断されます。

病名や受診時期を正確に思い出せない場合は、分かる範囲で回答します。

仕事以外のことも確認されます

精神疾患は、仕事上の出来事だけでなく、私生活上の出来事やこれまでの病歴など、複数の要因が関係して発病することがあります。

そのため、申立書では、家族、住居、生活状況など、仕事以外のことについても回答を求められます。

これは、仕事以外に精神疾患の発病へ強く影響した出来事がなかったかを確認するためです。

仕事以外の出来事や過去の病歴があるだけで、労災と認められないと決まるわけではありません。

仕事上の出来事、仕事以外の出来事、これまでの病歴などをそれぞれ確認し、発病との関係が検討されます。

分からないことは無理に断定しません

申立書では、過去の出来事や受診状況について詳しく尋ねられます。

時間がたっているため、正確な日付や出来事の細部を思い出せないこともあります。

その場合は、無理に年月日を決めるのではなく、「○年○月頃」「正確な日は覚えていない」など、分かる範囲で回答します。

また、実際に経験したことと、人から聞いたことや推測したことは分けて記載します。

メール、給与明細、医療機関の領収書などが残っている場合は、日付や出来事の順序を確認する手掛かりになることがあります。

申立書の提出後も調査が続きます

申立書を提出した後も、労働基準監督署による調査が行われます。

本人への聞き取りのほか、会社への照会、勤怠記録や業務資料の確認、関係者への聞き取り、医療機関への照会などが行われます。

本人の説明と会社の説明が異なる場合は、双方の説明や資料、関係者からの聞き取りなどをもとに事実関係が確認されます。

申立書に記載した内容だけで、支給または不支給が決まるものではありません。

会社の事業主証明を受けられない場合

会社が請求書への事業主証明に応じない場合でも、労災保険の請求手続きを進めることができます。

事業主証明を受けられない場合は、その事実を労働基準監督署へ伝えます。

労働基準監督署は、本人と会社への聞き取り、勤務記録や業務資料の確認などを行ったうえで、労災に該当するかどうかを判断します。

申立書が届いた段階でもご相談ください

精神疾患の労災申請では、請求書の提出後に、申立書への回答や労働基準監督署の聞き取りなどが行われます。

申立書やその後の聞き取りでは、受診状況、これまでの病歴、仕事上の出来事、仕事以外の出来事など、さまざまな内容が確認されます。

体調が悪い中で、過去の出来事を思い出し、限られた記入欄へまとめることが難しい場合もあります。

当事務所では、お話を伺いながら、申立書の質問内容を確認し、仕事上の出来事や症状の経過などを一緒に整理しています。

「申立書が届いたが、何を書けばよいのか分からない。」
「質問の意味や、何を確認されているのか分からない。」
「仕事上の出来事を記入欄だけでは説明できない。」
「会社の説明と自分の認識が異なっている。」

そのような場合も、現在届いている書類や、これまでの経過をお聞かせください。

申立書の内容を確認しながら、労働基準監督署へ伝えたい事実を一緒に整理していきます。

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※送付される書類の様式や質問内容、調査の進め方は、申請内容などによって異なる場合があります。

※個別の労災認定は、労働基準監督署が事実関係を調査したうえで判断します。ご相談いただいた時点で認定結果を保証するものではありません。

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精神疾患の労災申請では、どのような資料を準備すればよいですか?

長時間労働、ハラスメント、仕事量や仕事内容の変化など、発病前の出来事に応じて準備したい資料をご紹介しています。勤怠記録などを労働者自身で入手できない場合についても説明しています。

▶ 精神疾患の労災申請では、どのような資料を準備すればよいですか?

参考資料

・厚生労働省「労働災害が発生したとき」

・厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準について」

・厚生労働省「精神障害の労災認定」

・厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準に係る運用上の留意点について」

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